カフェ放送てれれは2003年1月開始。
「自由な感じがする」「ハードルが低そう」「自分も何か作ってみたくなった」など、
上映後はいろいろ話がでて、まずまずのスタートだった。
最初は6店舗で毎月上映、途中13店舗になったが、
当時不景気の波が押し寄せクローズするお店が続出、年末には3店舗になっていた。
日本で初めての試みだったので、なかなか『カフェ放送てれれ』が何なのか伝わらない。
テーマが決まった作品の上映会ならともかく、ジャンルも内容もいろいろ、作り手も学生から高齢者まで、プロ、アマ入り乱れ。「幼稚園の学芸会みたいなもんを見せるな!」と怒鳴られたこともあった。
「もっと選んでクオリティの高い作品だけ上映したらどうか」と提案してくれる人もいた。
けど、そんなんしたらせっかく作ろうと思ってる人が参加できなくなる。どうしようとモンモンとしていた。 お客が減り、誰も来なかった時もある。そんな時は胃がキリキリ痛んだ。
しかし、誰か来てくれたら、すごく率直な感想が聞けたりして、思わぬ話で盛り上がったり、
帰りはメチャ気持ちええ。 こんな素敵な時間、もっと大勢で共有したいなあと思った。
2004年は上映店も3軒になり細々と続けていった。
そんな中、東京や名古屋で特別上映が開催された。
また10月には「ケーブルウエスト大阪セントラル」でてれれの放送が始まった。
最初何もなかった反響が2008年頃には「これは何じゃ!」とビックリしHP見て上映会に来た人、 朝一番に「良かったわ」と電話くれた人、他のテレビでは決して見れない番組だと人気が出てきた。
J:COMはケーブル各社を吸収合併して2008年1月には日本国内最大のケーブルテレビ局になった。
しかし、その矢先、2009年3月で「市民チャンネルてれれ」が突然放送停止になってしまった。
まあ、これはカフェでの上映会をもっと充実させろということかと思い、「カフェ放送てれれ」に一層力を入れていった。
作品はインドネシア、フランス、ドイツ、韓国などからも集まりだし、日本各地の市民メディアの人とも交流出来てきた。
始めた頃は「カフェ」「バー」でしか上映してもらえないと思っていたが、2007年頃からコミュニティカフェや、障害者・ニートの人が働くカフェ、まちの画廊、市民活動センター、フリースペース、自然食レストラン、はたまた自宅、仲間で上映する仲間上映会など、どんどんいろんな所での上映が始まった。
なにより嬉しいのは、見ていた人が作る人に変わっていったこと。
その人たちが生き生きと自分の表現をし、参加者と交流していることだ。
そして参加者の中から『てれれクラブ』ができた。
上映店が30店以上になり、てれれスタッフだけでは回りきれなくなった時だった。
クラブの人が進行表を作りそれを手にもって進めてくれる。アンケート用紙がなくノートを切って感想を集めてくれた。今では「てれれ新聞」の発行まで始まった。
7年目に入って感じるのは、最初、静かに見ていた参加者が、感想を言い合うようになり、良かったことなどを発言する人が少しずつ増えてきた。次にだんだん、反対意見や、違和感を表現しだした。反対意見が出た時、それ以上話しが進まなくなり、少し険悪な状況になることもあった。
しかし、しばらくたつと今度は、考え方が違う意見に対していろいろ話合いが出来るようになってきた。 人とコミュニケーションを取るのは難しいが、少しずついろいろな意見を受け止めながら、また自分の意見を言い合える関係性が出来てきたのは嬉しいです。
地域の中でこのような場が出来てきたことが、てれれの目指している状況に近づいてきたと思う。
そして何より、若い人たち、大学生たちがてれれを面白いと取材に来てくれる。
今後はどんどん世代を越えてつながっていきたいものだ。
(2009年8月/文責:下之坊)